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島田洋七の『佐賀のがばいばあちゃん』がドラマ化されると聞いた。
ほぼ1年前、
この日記で紹介した本だ。
あの頃は本当にしんどかった。
入院中のお爺が危篤状態に陥り、精神も病んで、そういう状態が一ヶ月続いた。
もはや家族と看護婦さんだけでは抑えられず、あちこちの事業所に頼んでヘルパーを派遣してもらい、交替で病室に詰めたのだ。
お爺の状態は酷く、介護のプロのはずなのに
「耐えられません」
と言って逃げ出したヘルパーさんもいた。
そんな頃、私は病室に1冊の本を持ち込んだ。
お爺がウトウトした隙にでも読もうと思って。
それが『佐賀のがばいばあちゃん』だった。
どんなに辛い夜でも、本を開けば救われた。
本さえ開けばいつも彼らがいてくれる。
物語の登場人物が、書き手が、私のそばにいてくれる。
語りかけてくれる。
私は一人ぼっちじゃない。
疲れて怖くて悲しくて、そんな夜でも本さえ読めば、ささくれだった心が静まっていく。
そうしてまた、お爺に優しい言葉をかけてあげられるようになる。
置きっぱなしにした本を、気づけばみんなが読んでいた。
母も妹も、ヘルパーさんたちも。
「本なんて滅多に読まないんですけど、あの本はいいですね」
と言うヘルパーさんの顔を見れば、彼女もつらい仕事をあの本に救われていることがわかった。
本には・・・言葉には、こんなにも力があるのだと、初めて知った秋だった。
いつか私も、読む人の夜を救える文章を書けるようになりたいと願った。
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