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タイムカードを押して仕事仲間におはようを言った、いつもと変わらぬ朝のこと。
同僚が
「なあこれ、どうしよう!」
と駆け寄ってきた。
「道路のまん中に落ちてたから、拾ってもた!」
「拾ったって、何を?」
「ウグイス!」

手のひらの中で包めるくらい、小さな小さな鳥だった。
ぽつんとうずくまっていた。
「傷は見えへんねんけど、でも、ケガしたのかな。
ちっとも動かへん。
なあ、助けてやって!」
・・・そう言われても、困る。
スズメにツバメにシジュウカラ。
今までにも時々、ケガした小鳥が発見されることがあった。
「巣から落ちた雛に触れてはいけない」
とか
「野生動物に触れてはいけない」
とか言われるけど、どれも雛じゃなかったし、
ケガした生き物を道ばたに放っておく度胸も、私達にはなかったのだ。
それでも今まで拾った鳥はぜんぶ、その日のうちに死んでしまった。
獣医につれていくまでもなく弱って死んでしまっていた。
・・・この子も死んでしまうんやろか。
同僚はそう思ったに違いない。
小さな鳥は、身動きもせず鳴きもせず、ときどき目を開けてみるだけだった。
そしてその目も、だんだん開かなくなっていった。
だけどそれは朝のことで、私達はみんなこれから仕事を始めるところだった。
小鳥は、小物入れの籠に雑巾を敷いて、その上で寝かされた。
それから数時間。
昼休み、ケガした小鳥が気になって、大急ぎで帰ってきたら。
一足早く帰っていた子が
「鳥、飛んでいったよ!」
と教えてくれた。
「突然、元気になってバタバタしだして、
窓をあけたら飛んでいった!」

窓かどこかにぶつかって、脳震盪でも起こしていたのかもしれない。
元気になってよかった。
春になったら、また歌声をきかせておくれ。
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